*

P「貴音のことを考えると時々不安になるよ」


1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/07/28(月) 05:01:25.76 ID:PcxcK70m0
貴音「……それは、どういうことでしょう?」

「何ていうか、俺の知らない間に消えていなくなるんじゃないかって」

貴音「ふむ、わたくしが、ですか」

「そう」

2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:04:05.06 ID:PcxcK70m0
貴音「……もう少しお話ししていただけますか?」

「そう、だな」

「なんて言えばいいのか……」

「俺さ、時々、貴音が一体何を考えてるのか分からなくなるんだよ」

貴音「……」

「もちろん、嘘をついてるとも言わないけど……」

3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:09:57.84 ID:PcxcK70m0
「ちゃんと話せてる時もある、でも」

「同じくらい、不安になることも多いんだ」

貴音「それは例えば、どのような……?」

「うん、そうだな……」

「貴音が不意に笑う時に、一体何が面白かったのか、とか」

「顔が見たい時に、どこを探しても見つからないとか」

「どうしても、探れないトップシークレットをいくつも抱えてるように見えるとかかな」

4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:13:14.34 ID:PcxcK70m0
貴音「そうですか……」

「そういうときに、とてつもなく不安になるんだ」

「俺は、貴音のことをどれだけ知ってるんだろうって」

「逆に、俺の知らない貴音がどれくらい存在するのかって」

「すごく不安だよ」

貴音「ふむ……」

5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:17:16.07 ID:PcxcK70m0
貴音「……あなた様」

「何?」

貴音「あなた様の言わんとすることは分かっているつもりです」

貴音「……しかし、それでもなお、わたくしの全てをあなた様にお見せできないのもまた事実」

貴音「わたくしも心苦しいのですが、それでもしかし……」

「……うん」

「理解してるつもりだよ、ちゃんと受け入れてた」

「でも、最近そういう気分になることが多くてさ」

「……ちょっと、言ってみただけなんだ」

貴音「そうですか……」

6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:21:30.05 ID:PcxcK70m0
貴音「あなた様」

「……」

貴音「わたくしも、そうしてあなた様を苦しませる罪深い身」

貴音「ですが、これだけは信じていただきたいのです」

貴音「わたくしは嘘は申し上げません、裏切りもしません」

貴音「生涯、あなた様のお傍にいるつもりです」

貴音「……それではいけませんでしょうか?」

「……」

7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:23:04.09 ID:PcxcK70m0
「……」

貴音「……」

「……」

貴音「……」

「……なあ、貴音」

貴音「はい」

「そっち、隣に座っていいか?」

貴音「ええ、もちろん」

8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:26:10.92 ID:PcxcK70m0
「ありがとう」ストッ

貴音「……」

「……」

貴音「……」

「……」

貴音「……わたくしは」

「……」

貴音「……わたくしは今、あなた様のことを思い浮かべております」

「え?」

9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:35:50.64 ID:PcxcK70m0
貴音「今日、朝目が覚めてから、少し言葉を交わしたのを覚えております」

貴音「天気の話、朝餉の話、そして、仕事の話でしたでしょうか」

「……」

貴音「帰宅してからは、三度ほどあなた様に触れたでしょうか」

貴音「そのうちの一回は手と手が触れあいました」

貴音「それから夕餉の時にも談笑を……確か、響のことでしたでしょう、良く目が合ったような気がします」

貴音「そのあとは、食後にコーヒーを楽しむあなた様をソファから眺めておりました」

「……」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:40:55.91 ID:PcxcK70m0
貴音「しばらくして、あなた様もこちらに来て、何やら思いふけっているご様子でした」

貴音「それから、『不安だ』と仰った」

貴音「そうだったはずです」

「……そうだな」

貴音「もちろん、これで何が分かるわけではありませんが」

「……うん」

貴音「しかし、それでもお伝えしないわけには参りませんでした」

貴音「お嫌でしたか?」

「まさか、嬉しかったよ」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:48:55.44 ID:PcxcK70m0
「……お礼に、今俺が思ってることも話そうか」

貴音「……ふふっ、ぜひお願いいたします」

「うん」

「まず、そうだな……」

「貴音の顔が見えなくて良かったって思ってるよ」

「それに、テレビも付けてなくて良かった」

貴音「……他には何かございますか?」

「いいにおいがする」

「あと、貴音のももにかかってる髪の毛が綺麗だな、とか……」

「手を握りたい、とかかな」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:52:14.01 ID:PcxcK70m0
「どうかな」

貴音「……ええ、とても嬉しく思っております」

「そっか」

貴音「……」スッ

「……」

「……ふふっ」

「……」ギュ
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 05:59:29.95 ID:PcxcK70m0
貴音「……人の気持ちとは難しいものです」

「……そうだな」

貴音「どれだけ言葉を交わしても、全てを分かり合うことなどありえません」

貴音「わたくしとて、あなた様の心のうち、知りたくもあり、知りたくもなし……」

貴音「何も知らなければあなた様を想うことなどできませぬ」

貴音「しかし、全てを知れば、それもまた想うことが敵いませぬゆえ」

貴音「それが色恋の興なのでございましょう」

「……」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 06:03:53.46 ID:PcxcK70m0
「でも、こうやって手を握ってるだけで分かることもあるけどな」

貴音「ふふ、それは些か疑わしい話でございますね?」

「そんなことないさ」

貴音「それならば、わたくしは今何を考えていますでしょうか?」

「……手が、暖かいと思ってる」

貴音「……ふふ、いけずな方です」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 06:10:26.44 ID:PcxcK70m0
「……そういえば、今日は月の出ない夜だそうだ」

貴音「明日も雨が降るのでしょうね」

「残念?」

貴音「いいえ、月のない夜もまた一興でございます」

「どんなところが?」

貴音「時には月明かりでさえも、煩わしい時がございましょう」

貴音「時々には、見られたくない秘密もありますゆえ……」

「秘密?」

貴音「ええ、秘密を」

貴音「そうした秘め事には、月のない夜が一番です」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 06:16:46.75 ID:PcxcK70m0
「秘め事か」

貴音「……はい」

貴音「夜闇の中であれば、何もわかりはいたしません」

貴音「そこで何があろうとも、わたくし達だけの秘密でございます」

「はは、貴音はそうやって今まで秘密を増やしてきたのか?」

貴音「それはどうでしょうか」

貴音「……あなた様?」

「何?」

貴音「先ほどから手のひらが少々落ち着きませんね?」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/07/28(月) 06:22:54.92 ID:PcxcK70m0
「そうかな」

貴音「ふふ、やはりあなた様が正しかったですね」

貴音「手を握っているだけでも、分かることはあるものです」

「……じゃあ、今俺が何を考えてるか、分かる?」

貴音「もう、そんないけずなことは言わないでくださいまし」

貴音「あなた様の心のうち、知りたくもあり、知りたくもなし……」

貴音「しかし、今は知りたい気分でございます」

「……分かった、悪かったよ」

「貴音、もっと傍に来てくれ」

貴音「……あなた様」ギュ

                  おわり


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P「貴音のことを考えると時々不安になるよ」
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  • 新年あけましておめでとうございます。 本日1月5日から平常更新再開いたしますので、改めて今年もよろしくお願いします。
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