*

P「今日は俺が、南極に行った時の話でもするか」貴音「!」


1:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:42:26.15 ID:CwugHJ350
美希「ハニーの昔のお話?」

「えー! プロデューサー、探検家かなにかだったんですか!?」

「いやいや、違う違う。学生の頃さ、ツアーで行ったんだよ」

雪歩「南極って、ツアーで行けるものなんですか?」

「ああ、今は結構色々なオプションもあって、人気もあるんだぞ」

貴音「あなた様」

「ん? なんだ、貴音」

貴音「そのような雑談より、今後の活動についてなど有意義な話をいたしま……」

2:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:43:34.76 ID:CwugHJ350
真美「そんでそんで!? ど→だったの、南極って!」

亜美「やっぱ寒いの? ペンギンとかいた? 聞かせて、聞かせて→!」

「あ、ああ。学生の頃な、ちょっと変わった旅がしたいと思い立って、調べたらあるんだよ南極ツアーって」

真美「ふんふん」

貴音「……」

3:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:46:34.76 ID:CwugHJ350
「けどな、ツアーって言っても行くまでがまた大変なんだよ。なんせ直行便なんてないだろ」

伊織「言われてみれば、そうね。どういう行程になるの?」

「まずロンドンへ行く、そこで乗り換えて南アフリカのケープタウンへ。そこからようやく飛行機で南極の基地まで行くことになる」

伊織「まずロンドン……って、じゃあ日本からだと北極圏のフライトじゃない。南極へ行くのにまず北極圏を通るわけ? あきれた」

「南米から船で行く方法もあるんだが……」

「なんで、そうしなかったんですか?」

「南極半島から上陸するんだけど、滞在は2時間ほどなんだ。俺は南極でせめて1泊はしたかったんだよ」

5:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:49:23.39 ID:CwugHJ350
雪歩「大変な旅だったんですね」

「ケープタウンからのフライトも、すごい揺れてな。後で聞いたらブリザードを突き抜けて飛んだそうだ」

亜美「たのしそ→!」

「いや、ものすごい怖かったんだって。……そういや、そのフライトの時に……あれは夢だったのかも知れないけど……」

貴音「あなた様!」

「あ? ああ、なんだ貴音」

貴音「それでどうなったのですか? 無事に着いたのですよね?」

7:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:50:22.00 ID:CwugHJ350
「あ、ああ。飛行機から降りた時は安心したよ。なにしろ南極へのフライトで行方不明になると、ややこしいことになるからな」

「ややこしいこと?」

「ここで問題、南極はどこの国になるでしょうか?」

やよい「えっと……どこでしたっけ?」

「南アフリカじゃないんですよね」

「ああ」

伊織「南極は、どこの国の領土でもないわ。そうか、それでややこしいことになるわけね」

真美「ど→ゆ→こと?」

「どこの国でもない場所に行くって事は、パスポートの上では行方不明になるという事だ。」

春香「え?」

8:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:51:46.79 ID:CwugHJ350
「もし仮にそのまま行方不明になっても、国際条約とかで色々とあって捜査も難航するらしい。実際、出発前にそういう書類にたくさんサインさせられた」

千早「行くのが大変なだけじゃなくて、そういう面でも大変なんですね」

貴音「実際、氷で動けなくなる船も多いですものね」

「ああ、そういう探検の話を読んだ……ん?」

貴音「どうしました? 響」

「貴音もそういう本を読んだことがあるのか?」

貴音「え、ええ。そういうなんと申しますか……海や船の話が大好きなのです!」

「へえ。どんな船の話なんだ? 自分もちょっと読んでみたいから、教えて欲しいぞ」
10:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:52:55.74 ID:CwugHJ350
貴音「え、ええと、その……マリーセレスト号ですとか」

「ふんふん」

貴音「あとは……ナンタケット号とかが、印象深いですね」

「へえ……ん? なんか聞いたことあるような……」

真美「ねえねえ! 南極ってペンギンとかいるんでしょ→?」

「いたいた、人間を敵だと思っていないからな。なつくほどではないけど、近づいてもそんなに逃げないから、記念写真とか撮ったりしたんだ」

雪歩「ペンギンさん、人間をこわがらないんだ」
12:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:56:25.10 ID:CwugHJ350
「人間の方も、ペンギンを捕まえたりはしないからな」

貴音「食用には向きませんものね」

「ああ、コックの人もそうらしいと言ってた……貴音?」

貴音「なんでしょうか?」

「貴音も南極へ行ったことあるのか?」

貴音「い、いいえ! な、なぜそのようなことを?」

「いや……なんだかペンギンのことについて詳しいから……」

雪歩「ねえ」

貴音「! い、いえ、わたくしは単に、噂として聞いたまででして!!」

伊織「どこで聞くのよ、そんな噂」

「まあでも、確かに美味しくは無いらしいんだ。それに保護動物だしな」
13:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 19:57:45.56 ID:CwugHJ350
亜美「ジャ→なに食べたの? 南極で」

「レトルトやレーションだった。本来そんなに美味いもんじゃないけど、あの過酷な環境下だと妙に美味かったな」

春香「駅弁とかも、旅の車窓で食べると格段に美味しく感じますもんね」

「近いものがあるかもな。だけどあの時、持って行ったレトルトがなぜか半分近く紛失しちゃってな」

千早「? どうしてですか?」

「それがよくわかんないんだ。ガイドさんは、ちゃんと持ってきたし管理していたと言うんだけど、気がついたら消えていた」

貴音「申し訳ありませんでした……」

千早「? どうして貴音さんが謝るんですか?」

「ああ。別に貴音のせいじゃないだろ?」

貴音「そ、そうですね」

亜美「あ→! わかった!!」

貴音「!」
14:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:00:21.59 ID:CwugHJ350
真美「なになに→!?」

貴音「……」

亜美「お姫ちん、この間兄ちゃんのカップ麺食べちゃったから、その事を思い出しちゃったんでShow」

貴音「そ、そうなのですよ。ええ、あの時は本当に申し訳ありませんでした」ホッ

「ああ、もういいよ貴音」

あずさ「それで~? 食料は足りたんですか?」

「ええ。基地に保存してあった食料でまかなったんだそうです」

律子「そっちのお味は、どうだったんですか?」

「それがさ、厳しい環境にあるせいなのか、食事にありつくのが大変だったからか、ものすごく美味しかったな」

美希「旅先で食べるお弁当って、本当に美味しいの」
15:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:01:17.82 ID:CwugHJ350
「そういう感覚の、極限みたいな感じかな。やっぱり環境は厳しかったし」

伊織「馬鹿じゃなくても風邪をひかないのよね? にひひっ」

「? どういうこと?」

雪歩「聞いたことあるよ。南極では風邪とかの病原菌も生きていけないから存在してなくて、風邪をひかないって」

貴音「わたくしも、その風邪というものを知らずに育ちましたから」

あずさ「……え?」

貴音「先日初めて経験いたしまして、わたくしはもう大変な病にかかってしまってものかと勘違いを……」

あずさ「貴音ちゃん?」

貴音「なんですか?」
16:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:02:56.53 ID:CwugHJ350
あずさ「この間の風邪、生まれて初めてだったの?」

貴音「……じ、実はそうなのですよ! わ、わたくしは健康優良児でしたから!!」

「その割にはあの時の貴音、自分の手を握りながら『響、わたくしは死ぬのでしょうか?』って涙目で聞いてたぞ」クスクス

貴音「あ、あれは、その……」

雪歩「貴音さん、可愛らしい一面もあるんですね」

貴音「え、あ、その……はい////」
17:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:05:32.56 ID:CwugHJ350
「しかし南極では、風邪とかなんとかいってられない過酷な環境が人間を待っているからな」

雪歩「寒いんですよね、やっぱり」

「もうな、寒いって言うより痛いんだ。実際の気温は0度前後だったそうだけど、風が吹くとそれだけで痛いほどの寒さで」

春香「ちょっと想像できませんね」

「体感温度っていうやつだな」

「そうそう。装備はちゃんとしてても、ひと風吹くとものすごい寒さなんだ」

雪歩「聞いただけでこごえそうですぅ」

「しかも気がついたら迷っててな、あの時はあせったよ」

あずさ「南極で迷子ですか~? 危ないですね」

伊織「って、あずさが言ってもねえ」

亜美「あはは!」

あずさ「////」
19:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:07:19.24 ID:CwugHJ350
「なにしろ周りに、なんにも無いだろう? ちょうど吹雪いたりしてきて余計にわからなくなってな」

「そ、それで!? どうしたんですか?」

「どうやって基地に戻ったんだ?」

「それがな。不思議なんだけど、誰かの声が聞こえた……いや、聞こえた気がしたんだ」

春香「声?」

「吹雪の風音の中で、誰かが『こっちですよ』って……かすかな、女性の声だったんだけど」

真美「え→? お化けかなんかじゃないの→!」

貴音「失礼な!」

真美「え?」

「え?」
21:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:09:44.69 ID:CwugHJ350
貴音「あ、その、いいえ。その……助けてくれた人に対して失礼ではないかと……」

「あ、ああ。でも今思い返して、常識で考えても人の声だったはずがないんだよな。南極のあの環境で」

律子「でもその声のおかげで助かったんですか?」

「ああ。声の方に向かって歩いたら、10分ほどで基地が見えてきた」

「良かったですね」

「それは良かったんだけど、そこは宿泊予定の基地じゃなくてアルゼンチンの基地だったんだよ」

やよい「えー?」

「しかも俺が本来泊まる予定だったのは、イギリスの基地だったんだ」

伊織「それって……」

美希「え? どうしたの?」
22:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:10:58.41 ID:CwugHJ350
あずさ「イギリスとアルゼンチンは、領土問題で戦争したこともあってあんまり仲が良くないのよ~」

春香「じゃあ大変なことになったんですか!?」

「俺もその時は、ビクビクしたよ。誰何されて正直に話したけど、イギリス基地に行くつもりだったと知れたら、なにかされるんじゃないかって」

亜美「大ピンチだったんだ→!」

「基地が見えてホッとしたのに、一転してピンチでさ」

貴音「基地とはどれも同じように見えたもので……」

「そうだな……ん?」

貴音「なにか?」

「いや……」
24:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:13:57.49 ID:CwugHJ350
千早「それでどうなったんですか?」

「ああ、それがな。南極は過酷な環境だけあって、助け合いやいい意味での縄張り意識の無さがあるんだ」

雪歩「どういうことですか?」

「例えばよその国の基地の隊員が、勝手に別の国の基地に入ったとする」

「ちょ、そんなことして大丈夫なんですか?」

「そこなんだ。そういうことをしても、別にかまわないという慣例があるそうなんだ。南極では国はない、そして困ったならどこに立ち寄ってもいい」

「なんだかいいな、そういうの」

「俺自身、南極に行くまでも色んな国の色んな人たちの力を借りたわけでさ。そうした経験を経て、なんか国際平和ってものを考えさせられたよ」

あずさ「いいお話ですね~」
25:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:15:27.48 ID:CwugHJ350
「わざわざスノーモービルで送ってくれてさ、本当にありがたいを通り越して申し訳なかったよ」

伊織「でももうこれでアンタも、あずさの迷子のことを言えなくなっちゃったわね」

真美「だ☆ね→!」

あずさ「プロデューサーさんと、二人では南極に行かないようにしますね~」

千早「ふふっ」

「それで夜になったんだけどさ、いつまでたっても明るいんだよ」

「あ、白夜ですね」

雪歩「そっか。夏はずっと太陽が出ていて、冬は夜ばっかりになるんだっけ」

「そうそう。わかってはいても、実際に体験すると不思議だよな」
26:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:16:51.56 ID:CwugHJ350
亜美「それならずっと外で遊べるね」

「実は亜美と同じ事を考える人は、けっこういて」

亜美「え?」

「夜更かしして、みんなで遅くまで騒いじゃったんだ」

真美「い→けないんだ→!」
27:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:17:52.70 ID:CwugHJ350
「実際の時計と外の景色が一致しないもんでな。それでもさすがに明け方はウトウトして……そうだ、確かその時……」

貴音「……」

「あれは……」

貴音「……」

「窓に……」

貴音「……」

「窓に……」

貴音「……」

春香「ど、どうしたんですか?」

千早「プロデューサー?」

「貴音?」

貴音「……思い出してしまわれたのですね」
29:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:21:59.53 ID:CwugHJ350
「あの時、窓の外にいたのは……やっぱり!」

「え?」

雪歩「え?」

貴音「このような事にならぬよう、封印した記憶が蘇らぬよう、わたくしはずっとあなた様を監視していたのですが……」

「思い出した! あのブリザードを突き抜けたフライトの時、俺は一度……」

やよい「どういうことですかー!?」
32:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:24:14.46 ID:CwugHJ350
あずさ「どういうことなんですか?」

貴音「わたくしは、るるいえを護りし末裔。あの時なた様が乗った飛行機は、わたくし達の住まいの上に墜ちようとしたのです」

「あの時、そんなことが……」

律子「え? 貴音が……え?」

亜美「お姫ちん、南極に住んでたの?」

貴音「あなた様を助けたわたくしは、あなた様の記憶が戻らぬよう監視することにいたしました」

「やはりあの基地で外から俺を見ていた美女は、貴音だったんだな!」
33:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:27:28.43 ID:CwugHJ350
伊織「ちょ、ちょっと待って! そのアンタの記憶が戻ったってことは……」

真美「お姫ちん、兄ちゃんをどうするの……?」

貴音「あなた様が南極の話をすると言い出した時、このような事態になるのではと案じておりましたがやはり……」

「……俺をどうするつもりだ?」

貴音「……この上は」

貴音の銀髪が、輝くように光を放ち、そして逆立つ。
その目は燃えるような赤眼だ。
34:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:31:17.17 ID:CwugHJ350
あずさ「待って、貴音ちゃん!」

「なにをするつもりなんだ!? 貴音!!」

真美「や、やめてよお姫ちん」

亜美「そんな……」

雪歩「貴音さん!? 貴音さん!!」

「雪歩、下がってて!」

春香「そんな、うそ……ですよね」

千早「やめて! 貴音さん!!」

律子「落ち着いて……冷静になって、貴音」

やよい「貴音さーん!」

美希「ハニィィィ!!!」

伊織「待ってよ……なにする気よ……私たち、仲間じゃなかったの……」
35:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:33:10.90 ID:CwugHJ350
貴音「……あなた様」

「……なんだ?」

貴音「わたくしと、あの時の事、そして南極にあるるるいえの事をあなた様が知ってしまった以上……」

「……」
37:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:35:38.61 ID:CwugHJ350


貴音「わたくしとあなた様は、夫婦になる他ありません!」



38:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:36:09.16 ID:CwugHJ350
「……え?」

真美「え?」

亜美「え?」

やよい「え?」

伊織「え?」

美希「え?」

「え?」

春香「え?」

千早「え?」

「え?」

雪歩「え?」

律子「え?」

あずさ「え?」
41:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:39:04.37 ID:CwugHJ350
貴音「るるいえの事を知られた場合、その相手を愛するか……結婚するか!!!」

律子「なにそのかわり映えしない2択!?」

あずさ「え? あの、私たちも知っちゃったんだけど~」

貴音「女性はのーかんです」

真美「軽っ!」

「じゃケッコンすっか」

貴音「んだ!」

亜美「二人とも軽っ!!」
44:Swing ◆VHvaOH2b6w:2014/05/20(火) 20:41:36.99 ID:CwugHJ350
「新婚旅行はどこがいい?」

貴音「あなた様、わたくし実家に里帰りしとうございます」

「よしきた!」

貴音「てけり・り! さとがえ・り♪」



~名状しがたい、おわりのようなもの~


元スレ
P「今日は俺が、南極に行った時の話でもするか」貴音「!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400582546/

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  • 新年あけましておめでとうございます。 本日1月5日から平常更新再開いたしますので、改めて今年もよろしくお願いします。
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